交通事故によるむち打ち症の診断では、患者の年齢を考慮することも大切です。なぜならば頸椎の椎間板は一般的に、加齢によって高さが低くなるからです。椎間板の高さが狭小化すると、椎間関節が緩み始めます。この状態で交通事故に遭うと、関節はさらに緩み、炎症を起こしやすくなると考えられます。
椎間関節が緩むということは、関節がグラグラするという不安定な状態です。これに対し、体は何とか安定を保とうと努力します。その結果、椎骨に骨棘(こっきょく)が張り出し、安定を図ろうとするわけです。骨棘の形成は、年齢を経て徐々に進むもの。むち打ち症治癒の目安である6か月を超えても、まだ痛みが消えないという場合、この過程にいることがあります。
椎間関節が不安定であるため、その部分が炎症を起こし石灰化する、これが骨棘というものです。骨棘によって関節部が安定すると痛みが取れますが、それまでの間は関節間の摩擦が痛みをもたらします。安定化して痛みが取れるまでに、数年かかる人もいます。