物損事故とは、人が死傷せず、物だけが損壊する交通事故です。物損事故には、加害者が被害者に衝突して物損が生じる事故と、運転手が電柱、ガードレール、建物に衝突して生じる単独事故(自損事故)という、大きく分けて2つの様態があります。物損事故ではこの状況に応じて、相手方の対物賠償保険、自身の対物賠償保険、そして自身の車両保険が使えます。これらはいずれも、任意保険です。
まず物損事故の被害者になった場合、加害者である相手方の対物賠償保険から賠償金が支払われます。次に加害者になった場合や、単独事故で電柱やガードレールを壊してしまった場合、自身の対物賠償保険を使って賠償金を支払います。最後に単独事故や、当て逃げされて相手がわからない場合、自身の車両保険を使って自分の車を修理します。
対物賠償保険は交通事故で、他人の物を壊してしまった場合、その修理代や弁償代を支払う保険です。そして車両保険は自分の車が損壊した場合、修理費用や買い替え費用を補償する保険です。車両保険は修理会社の見積書をもとに支払われるので、実際に修理をしなくても受け取ることができます。
物損事故に、自賠責保険は使えません。なぜならば自賠責保険は、「交通事故被害者の身体に生じた損害」を対象とする保険だからです。よって、自賠責保険にしか加入していない人が加害者になれば、自分の車両修理費はもちろん、相手の車両修理費も自腹で支払うことになります。