われわれの頭部は、体の上にやや不安定に乗っているものです。したがって、強い衝撃を与えられ、S字型の動きを強いられることにより、さまざまな症状が出現することに。
外傷性頸部症候群、頚椎捻挫、というのがむち打ちの正式名称。首の靭帯、筋肉、または関節を痛めることによって、首、肩、そして背中に痛みが持続する症状を指します。これに対し、首の骨の骨折や脱臼は、脊髄や神経を痛めることになり、手足に不自由をきたす場合も。最悪のケースでは、寝たきりということもあるからして、むち打ちは首の損傷の中で経度のものの総称として使われることもあります。
むち打ちは、1928年から使用されるようになった言葉です。発症のメカニズムとしては、7個ある首の骨に衝撃が加わり、骨のみならず、靭帯、筋肉、そして椎間板を痛めることによって、持続的筋収縮が発生。この硬くなった筋肉が神経を刺激して、首の動きを制限したり、腕、手、そして指にシビレをもたらすことに。
むち打ちの85%は、自動車事故が原因です。中でも後方からの衝突が多数を占め、男性よりも首が細く筋肉の少ない女性に発症しやすいということ。また首への衝撃ということで、ラグビーや柔道など激しいスポーツ、はたまたしりもちで発症することも。たかがむち打ちと言われがちですが、されどむち打ち。適切な処置を受け、一刻も早く痛みを緩和させることが望まれます。