交通事故の被害に遭ったけれど、痛みを感じない。こういう時でも、病院で診察してもらうのが一番です。交通事故に遭った直後は、興奮状態で神経が高ぶっており、痛みを感じないこともしばしば。また特にむち打ち症の場合、事故直後に痛みはなくても首周辺の組織が傷つき、翌日、2日後に痛みや体調異変に気付くというケースが多々あります。
痛くないけれど通院すべき理由は、複数あります。まず通院しないと、治療費も慰謝料も請求できないということです。けがをしていても病院に通わないと、「人身事故」でなく「物損事故」と判断され、車の修理代しか出ません。また病院の診察も、事故後すぐに受ける必要があります。半月後、1か月後から通院し始めると、保険金を支払う相手方の保険会社は、「本当に事故による痛みなのか?」と因果関係を疑い、保険金の支払いを拒絶する事態にもなりかねません。
さらに事故から最初の受診までに期間が開くと、「後遺障害認定」を受ける場合にも差支えが出てきます。というのも、この認定を受ける際に、事故直後の症状が問題になる場合も多いからです。この時に当初の診断書やレントゲン、MRIなどの検査結果が提出できなければ、「非該当」と判断される可能性が高まります。
しかし何より大事なのは、重大な症状が隠れている可能性があるからです。交通事故に遭うと、脳内出血など重大な怪我をしている場合もあります。脳内出血は、自覚症状がないケースがほとんど。痛みがないからといって、通院せずに放置して症状が悪化、命の危険に関わるという事態を避けるためにも、事故後の通院は欠かせません。