交通事故で脳が損傷すると、運動機能や精神機能に重大な影響を及ぼします。記憶力、注意力、集中力の低下、人格が凶暴になったり幼稚になったり、対人関係の維持が困難になり、自己中心性、固執性なども見られるところ。後遺障害としては大変重症であるにもかかわらず、他人から理解されにくいというのが実情です。
また検査で脳の傷跡を確認できない場合も多く、後遺障害であるかをもめることもしばしば。正当な賠償を受けるべく、後遺障害等級を取るには、事故が原因で残った後遺障害であることを証明することが重要となります。それでは脳の損傷が原因で起こる、高次脳機能障害の具体例を見てみましょう。
電話で家族への伝言を頼まれたものの、電話を切った後に内容を忘れてしまう。また作業の途中にトイレに行ったら、どこまでやったか忘れてしまう、といった記憶障害。通常縦向きのコピーを頼む中、今日は横向きのコピーも頼んだら、すべて横向きにコピーしてしまう。また着替えに異常に時間がかかる、といった遂行機能障害。
少し気に入らないことがあると大声を出す。大人なのに子供と本気で食べ物を取り合う、といった感情コントロールの低下、または協調性の低下。食事の時にもったいないとお皿をなめ、外食でも同じことをやる。公園でいつも座るいすに座っている人を怒鳴る、といった固執性が挙げられます。