交通事故は、双方に過失がある場合が多いもの。特に交差点の出会い頭衝突や右左折の衝突には、何かしら双方に過失がある交通事故の典型例といえます。問題は過失割合によって、相手方に請求できる額や自分が負担する額が、大きく左右されるところです。ということで多くの交通事故で、過失割合は協議示談されるものの、しばしば揉めることになることも。
過失割合とは、当事者それぞれの過失の割合を示したものです。「過失の割合が大きい=悪い当事者」と考えられるため、感情的な対立が起こりやすくなります。またこの割合によって、お互いが支払う損害賠償額も決まるため、「なるべく少なく払いたい」という気持ちが、過失割合で揉める一因となります。
過失割合で最も揉めることの多いパターンは、「事故状況を示す、客観的証拠がない」ということです。ドライブレコーダーがあればまだしも、客観的な証拠がないと交差点事故、路外侵入、車両変更など大まかな類型で過失割合はおおよそ決まるものの、最終的には当事者双方の記憶と認識を頼りに協議することに。「自分は悪くない」という願望が記憶をすり替えることもあり、協議は難航します。
また交通事故では、「どちらが悪い」と一概に言えない場合もあります。信号機もなく、道幅も同じ交差点での出会い頭事故では、どちらが悪いとは判断しがたいもの。そんな時にお互いが、「責任を負いたくない」とか「相手からお金を取りたい」といった気持に陥り、過失割合がまとまらないこともあります。
そして最後に損害額の多い事故。損害額が多いと、過失割合が5%や10%変わっただけで、負担額に数千万円の違いが出てくる可能性があります。特に「どちらが悪い」と言えない事故の場合、過失割合の話し合いが長引くことになりかねません。