交通事故直後は、極度の興奮状態にあり痛みを感じず物損事故で届けたけれど、時間の経過とともに体に変調を感じた場合、人身事故に切り替えることが勧められます。まず第一に、物損事故と人身事故では、損害費目が大きく異なり、金額が大きく異なります。物損事故で届けられているから、「治療費」などの補償が一切支払われないということはありませんが、保険会社としては「本当に怪我をしているのか?」、または「怪我をしていても軽症だろう」と被害者には不利な判断をされかねません。
また人身事故の場合、警察は『実況見分調書』を作成します。この調書は客観的であるゆえ、相手方保険会社からの過失割合に疑問がある場合、この『実況見分調書』をもとに、自分の主張を述べることができます。さらに、人身事故であれば加害者に民事責任(損害賠償責任)だけでなく、刑事責任(犯罪としての罪)と行政処分(免停)を問うことができます。
では実際、どのように物損事故から人身事故に切り替えたらよいでしょうか?まず加害者の保険会社に治療を受けたい旨を伝えてから、病院で診察を受けて受傷日、初診日、傷病名、治療を要する期間、事故と受傷の因果関係が記された診断書をもらいます。これを運転免許証などといったほかの必要書類と一緒に警察へ提出すると、「自動車安全運転センター」から『人身事故』と記された事故証明書が発行してもらうことができます。
最後に、切り替える期間です。事故発生から病院受診までの期間が長いと、事故と負傷の因果関係が証明しにくくなります。受診は加害者の保険会社に連絡を入れた後、遅くとも事故発生から1週間以内に済ませるようにしましょう。