交通事故に遭った怪我が原因で、後遺障害が残ってしまい、収入が減ってしまう場合があります。この時に、その減額分を逸失利益として、相手方に請求することができます。仕事の継続が可能な年齢まで損害が発生し続けることになり、高額の賠償金となることもしばしば。しかし事故当時、無職の場合はどうなるのでしょうか。
逸失利益の定義は「本来得られるはずだったのに、得ることのできなくなった経済的な利益(収入)」です。よって、交通事故の怪我が仕事に支障のない場合、支障があっても減収が生じない場合、就労収入を得る予定がない場合は、逸失利益を請求することはできません。
それでは無職の場合はどうなるかというと、職がなくとも事故前に労働能力、労働意欲、そして労働の蓋然性(確かさ)があることを条件に、逸失利益を請求することが可能になります。労働能力は、重い病気を患いすでに就労することができない状態では認められません。労働意欲は、ニートなど就労準備をまるでしていない場合も認められません。労働の蓋然性は、90歳や100歳の高齢者のような、明らかに働きたくても働けない場合も認められません。
無職には学生、主婦、失業者、高齢者など様々な人がいます。失業者は原則として、前職における収入をもとに基礎収入額を算出します。学生、専業主婦、高齢者は、国の統計調査によって算出された平均賃金である「賃金センサス」に従い、計算することになります。