むち打ちの症状や痛みは、事故衝撃の度合い、患者さんの年齢や体質によって異なります。また痛みの感じ方、症状の現れる時期、回復時期にも個人差があるもの。接骨院、整骨院といった治療院は、「患者さんは、一人ひとり異なる症状を持つ」という理念を基本に、筋肉の破損状況を触診で把握します。
むち打ち症になった筋肉は、組織が破損しています。触診をすることによって、筋肉組織がどれだけ破損しているか、神経がどれだけ圧迫されているかなどを確認。それを基に、症状が重度であるか軽度であるかを判断します。
擦り傷にかさぶたができて完治するまでに一定の時間がかかるのと同様に、壊れた筋肉組織が元に戻るまでに絶対的必要な時間が存在します。しかし最初の処置次第で、早期回復するかしないかが決まるもの。この触診をなるべく早い段階で受けて、治療家の指示を仰ぐのが効果的です。
むち打ち症の多くは、首の周りの炎症に始まります。まずアイシングで、患部の筋肉を冷却。この初期段階で冷やすことをしたか否かで、その後の施術期間が左右されるといわれます。そして、首の状態を極力安静に。首を固定する頚椎カラーを利用しても、長期依存は禁物です。関節や筋肉は硬くなり、脱着後の肩こり頭痛に悩まされる原因に。
炎症期が過ぎると、筋肉組織の回復期がやってきます。筋肉をほぐして血行を促進させながら、ストレッチなどで落ちた筋力を復元させます。またこの時期に赤外線などで、患部を温めるのも効果的。体の細胞は、温めると組織再生を早めるという特徴があります。自然治癒力を高めるには、体温を上げることが重要視される所以です。
ここまで来たところで、通院を辞めてしまう患者さんがいます。痛みが引いて体が自由になったところで、仕事に完全復活。気を付けてきた患部を無防備に動かして、炎症が再発するケースは少なくありません。最後まで治療院の先生と相談し、低下した筋力がしっかり戻るまで、リハビリをこなすことが再発防止に一番効果的といえます。