交通事故で患った椎間板ヘルニアの慰謝料や損害賠償は、しばしば認められにくいと言われることがありますが、それは一体なぜでしょう?椎間板ヘルニアは、交通事故以外の要因でもしばしば起こりうるもの。もともとヘルニアが発症している可能性がある場合、請求した慰謝料や損害賠償は全額が認められないケースもあるということです。
ヘルニアは交通事故以外でも、スポーツ、持病、遺伝的な体質や骨の形を原因に発症します。そして何より、加齢によって椎間板の弾力性が失われて発症する、という考えが主流です。よって、特に中高齢の被害者に対して保険会社は、「加齢による椎間板ヘルニアが、もともと発症していたはずだ」と主張してくるわけです。
交通事故前に被害者が椎間板ヘルニアの症状を患っていた場合、すべての責任を加害者に負わせるのは酷であるとして、「素因減額」という損害賠償の下方修正措置がしばしば取られます。既往症のヘルニアと、事故によるヘルニアが両方存在するために、今回の後遺障害が発生したという考えです。
素因減額が認められると、得られるはずであった損害賠償額から一定額が差し引かれ、被害者にとっては不利です。素因減額されないためにも、後遺障害診断書に「椎間板ヘルニアは、事故によって発症した」と医師に明記してもらったり、または整形外科への通院歴がないところを、適切に主張していくことが重要とされます。