配送の運転中や、自転車の通勤中に交通事故に遭った場合、治療に加害者の任意、自賠責保険を使うことが多いですが、労災保険を使うこともできます。追突のように過失割合が明確で、重傷に至らない場合は、加害者の任意、自賠責保険を使用して済ませてしまうことが多いようです。しかし労災保険が使えるということを知らず、損をすることもあります。
休業補償のような損害の補填は、任意、自賠責保険と労災保険から二重に受け取ることはできませんが、労災保険から社会福祉的観点で支給される「特別支給金」、「アフターケア」、「労災就学等援護費」、「長期家族介護者援護金」などは、労災保険特有のものであり、知らずにいると損をすることになります。
任意、自賠責保険と労災保険では、休業補償や入院諸雑費を始め、支払限度額などが異なるため、どちらに申請するかは、自分の置かれた状況から判断することになります。たとえば労災保険は無制限に支給される一方で、自賠責保険には障害部分で120万円という限度額があります。したがって痛みの要因がレントゲンにはっきり映っておらず、長めに通院する可能性がある場合、難色を示すことが多い保険会社の任意、自賠責より、労災保険を使った方がよいということになります。
仕事中、通勤中の交通事故は、加害者という第三者によって発生する労災で、建築現場で崩れ落ちてきた資材で怪我をした場合とは異なります。第三者行為災害届を出すことで、会社の支払う労災保険料が上がることはないので、労災申請を渋る場合はその点を説明して協力してもらわなくてはいけません。