交通事故で骨折をしてしまった場合、治療は長期化し、その程度によっては後遺障害を残す可能性もあります。そうなると、むち打ち症のように症状だけが出る状態とは異なり、賠償金額が高額になることもしばしば。しかし対応を間違えると、適切な損害賠償を受け取ることができなくなることもあります。それでは具体的に、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?
まず、事故後すぐに医師の診察を受けることが不可欠となります。事故当初、「怪我がない」または、「痛みがない」と思って医師の診察を受けない人、また仕事などが忙しく事故から1週間以上たってから医師に相談する人がいます。しかし、交通事故で身体に衝撃を受けたときは、すぐに医師へ「交通事故に遭った」と告げて検査を受けるべきなのです。
なぜならば、損害賠償を受けるためには、骨折と事故の因果関係を証明する必要があるからです。痛みがなくても、骨折している場合があります。骨折は後に変な形でくっついて変形障害が生じたり、可動域に制限が生じたりと、後遺障害が残る可能性が高いもの。事故から何週間も経ってから医師に相談して、本当に事故によって発生した骨折なのか?と争われては大変です。
次に大切なのは、通院を続けることです。骨折によっては、リハビリまでに経過観察期間がかかる場合があります。仕事が忙しいからなどと、この期間の通院をやめてしまうと、骨がくっつくまでの経緯が医療記録に残りません。その結果、どの時期まで骨折と事故の因果関係があるか不明瞭となり、加害者の保険会社からの治療費が打ち切られたり、慰謝料の減額につながる恐れがあります。
また骨がくっついても、疼痛などの神経症状が残る場合があります。これを後遺障害で認定してもらうためには、治療経過を主張立証しなければいけません。途中で通院を怠ると、これが証明できず、疼痛は後遺障害として認めてもらえなくなります。適切な損害賠償を受けるためには、医師の指示に従って、定期的な通院を続けなければいけません。