交通事故が原因で妊婦さんが流産してしまった場合、妊婦さんは自分の怪我に対する慰謝料のほかに、流産そのものに対しても慰謝料を受け取ることができます。慰謝料の金額は、1、初産か、2、臨月に近いか、3、妊婦さんの年齢、今後授かる可能性、妊娠に至る個別事情、などを考慮して決定されます。
例えば不妊治療の末に授かった子供である場合、また臨月間近に交通事故による流産で失ったという場合、「子を流産したことについて精神的な苦痛」は、一般的な流産よりも重いと考えられ、慰謝料も高額になるものです。裁判例としては、出産予定日の4日前に胎児が死亡が確認されて800万円の慰謝料が認められたケース、妊娠36週で胎児の死亡が確認されて母に700万円、父に300万円の慰謝料が認められたケースがあります。
また交通事故で受けた衝撃によって切迫早産になってしまった場合は、その治療費と入院費を相手方に請求することができます。しかし交通事故と切迫早産の因果関係が証明されなければいけないので、注意が必要です。
さらに生まれてきた赤ちゃんに、交通事故が原因と考えられる症状が認められた場合は、その症状の治療費、慰謝料、そして逸失利益を相手方に請求することができます。生じる症状の大きさによって異なりますが、数百万円から1,000万円を超える額が認められるケースもあります。これも切迫早産と同様に、交通事故と赤ちゃんの後遺障害の因果関係が証明されなければいけません。